この連載の記事
1. 国民国家とマスメディア
――ベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」という考えには結構な衝撃を受けました。自分が日本人であるとか、アメリカ人、中国人、フランス人であるといった国民認識は、日本なら日本という国民共同体に属しているという想像に過ぎない。疑う余地もないほど自明だと思っていたものが、実は実体のない想像力の産物だったのかと。そしてそ
2. メディアの「実力」を考える
――次にマスコミュニケーション研究の歴史と言いますか、理論の変遷についてお聞きしたいと思います。先ほど1940~60年代のアメリカで、マスメディアの効果は限定的であるとする「限定効果理論」が支持されたというお話がありましたが、どういった理屈で限定的になるんですか。
3. 陰謀論はなぜ広まるのか
――マスメディアの報道が特定の政治性を帯びていること、いわゆる「偏向報道」への批判はいまもよく見聞きします。なかったことをあったことにしたり、逆に不都合な事実を隠蔽したりするのは論外ですが、新聞社にしてもテレビ局にしても独立した組織である以上、それぞれの主義・主張があるのはむしろ当然だと個人的には思うのですが、マスメデ
4. 仲間意識のないナショナリズム
――マスメディアが抱える問題の一つとして、スポンサーや利害関係者に対する遠慮や忖度というものがあると思います。昨年(2023年)BBCに報道されるまで、ジャニー喜多川氏による性加害が60年もの間ほとんど触れられてこなかったのはその一例ですが、こうした問題に対してわれわれ民衆はどのように対処すればいいのでしょうか。