この連載の記事
1. 30年越しの発見―「平家の落人伝説」から「土佐源氏」へ
木村 哲也
東京にある高校を卒業した春、大学の入学を控えた1990年3月。高知県宿毛(すくも)市への帰省のおり、高知県西南部をあるいた。30年以上前のことである。
2. ストリートのフィールドワークから デザイン人類学の実践へ
中村寛
9.11同時多発テロから約一年後の2002年秋、私はニューヨーク市ハーレム地区でムスリム・コミュニティのフィールドワークをはじめた。その経緯や探究内容については、『残響のハーレム――ストリートに生きるムスリムたちの声』(共和国、2015)などに発表してきた。また、フィールドワークの舞台裏でのことは、『人間と社会のうご
3. 車中の会話——もうひとつの聞き取り空間
石岡 丈昇
木村さん、中村さんからバトンを受け取って、書きはじめています。バトンリレー形式の書き物は初めてです。私が何かを書くとき、一番多いのは、単発の論文を書くというものです。フィールド調査だったり、理論研究だったり、何か主題を決めて、それについて原稿用紙50枚ほどで書く。それを学術雑誌に投稿したり、論集のなかのひとつの章に入
6. 嘘をめぐる豊かさ—タンザニア商人たちのフィールドワークを通じて
小川さやか
前々回の連載では、打越さんが「社会の癖」をテーマに書かれていました。私も癖のある人間と同じように、一癖二癖ある社会のほうが魅力的にうつります。そして個々の社会の癖を個々の調査者たちが許し、身体化するだけでなく、そこから学び、ひとつではない世界を構想する礎にできたらいいなと考えています。
8. 複数で行くフィールドワーク、複数の自己変容
奥野克巳
2006年度に、当時勤めていた大学から研究休暇をもらい、1年間にわたって、マレーシア・サラワク州の狩猟採集民プナン(Penan)のフィールドワークを行いました。その後、2007年夏から2024年の春に至るまで、コロナ禍の2年半の中断を挟んで、年2回ずつ、短くて2週間、長くて1ヶ月ほどのフィールドワークを繰り返してきて